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しかし。。 この地に生まれ、この風景をふるさととして暮らす人々にしてみれば。。ここにまったく違和感などないのだろうし、ましてや「不思議」など思うわけもない。。 なのだけど。。この、いうなれば大河の上流部によく見られる「V字峡」を思わせる風景が、出雲の海っぺりから、車なら一時間もかからないと聞いて驚かない人はどれほどにあるのだろう。。 じつに島根のというか。。中国山地の日本海側の河川の風景は面白くて、有名な川の源流域に、まず人の暮らしが洗練されて…。。その地形は、河口に近づくほどに「V字峡」となり、つまるところ人々の暮らしは河川の洪水との戦いに、難しくなっていく。。 だからして、この地に「ヤマタノオロチ」の神話が生まれ、「出雲結」などという治水の洗練された技術文化も生まれることになる。。まあ、「国引き」だって似たようなもんだし。。 だからといって「それがなんだよ?」という程度のことなのだが。。じじい、くたびれるとときどきここに来る。。車を止めてこの風景を眺めている。。 「山のあなたの空遠く 「幸」(さいはひ)住むと人のいふ。 噫(ああ)、われひとゝ尋(と)めゆきて、 涙さしぐみ、かへりきぬ。 山のあなたになほ遠く 「幸」(さいはひ)住むと人のいふ。」 言わずもがなに「カール・ブッセ」の「山のあなた」(上田敏(うえだ びん)訳)。。なんでか、じじい、この風景にこの詩が思われる。。 こういう「V字峡」を関東に探せば、その外輪を為す「奥秩父」や「甘楽郡」など西上州の山岳の風景が思われる。。つまりは、そのあたりを彷徨った若い日々の「さいわい」に…。ときにその「懺悔」や「悔恨」に向き合うために…。。 車を止めた車窓にほころびだした白梅の春があった。。
by nature21-plus
| 2017-03-06 23:26
| 心象をスケッチする
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