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よもやナイフに現在のように厳しい時代がくるなど予想だにせず…。二十数年前、漠然と夢見た田舎での暮らしの仕事にカスタムナイフ・メーキングを夢見ていた。 現実的には、世界に例などないだろうほどに高度に発達した刃物の文化を持ち、本来的に「ナイフ」など不必要な日本で、これが業として成り立たないだろうことは理解していたし、他にしたいと思ったことがなかったわけでもない。しかし、一時期、これを夢中に作った。 その総数は、どれぐらいになるだろう。島根に来てからペースが落ちたが、たぶん百七十本ぐらいは作ったはず。 写真のナイフは、出雲の須佐之男の神話にインスピレーションされて作ったオリジナルデザイン。作り方は、いわゆる鍛造ではなく、「ナイフの神様」と称される「R・W・ラブレス」が開発した「ストック・アンド・リムーバル」という技術による。 しかし、特殊鋼の熱変化による歪みを嫌い、ベルトグラインダーなどの電動工具を使わず、ドリル以外の大半の作業を手ヤスリでする。また、そのための道具やオリジナルな技術なども考えた。 ちなみに、おいらは、ナイフに限らず「道具の美しさとは機能である」と考える。だけに、その仕上げは、すべてブレードが透けるかと見紛うレベルの鏡面に仕上げる。当然、この仕上げに不向きな鋼材は使わない。 ともあれ、普段の暮らしに手にするレベルの道具の中で、どうやら、おいらはナイフが一番好きらしい。だけに、そのナイフを自分が使うレベルぐらいではあるが、なんとか思うどおりに作れるようになったことは嬉しいことだ。つまり、そうしたことから田舎暮らしを意識したときに必ずしも「業」にならなくともナイフ作りを生涯のライフワークにしたかったのだ。 だが、この数年、そのナイフ作りを止めている。 理由は、一つ。 嬉しいことに、作れば必ず「欲しい!」と言う人がいるからだ。 これは確かに嬉しいことなのだ!。 しかし同時に、その取扱いを間違えれば大きなトラブルを引き起こしかねないナイフを見も知らない不特定多数の人に手渡す恐怖を、数年前から禁じ得ない。 ちなみに、欲しがってくれる人々は大半が友人や知人である。当然、その人格に不安を感じるような輩は一人もいない。しかし、手の中に入る程度のものなど、ときに持ち主の意志や思惑を離れて一人歩きする場合もあるようだ。 そしてリスクは、ここにこそあるのだろう。 だけに、その最善の対策とは作らないことなのだ!。 写真のナイフは、十五年ほど前に作ったモノ。これが十年ほど前、当時主催していたナイフメーキングクラブの工房に、無礼にも酔っ払って現れたある町の町長がどうしても譲れと握って離さない。 正直を言えば、これに不快を感じないでもなかった!。だが、この町長、以外に正直者で結構善人。 個人的にも嫌いではないこの人物が「町長室に飾って、我が町にもこういうものを作る人物がいることを役場を訪ねてくる者に伝えたい」と言う。つまり、力ずくなら屁とも思わないが、さすがにこれには断る理由を失った。 その町長が、数年前に市町村の合併で出来た新しい市の市長になったのだが、どうやら、自動的に、奥出雲のある「鉄」に関わる財団の理事長になったらしい。 つまり、その財団の理事長室にこのナイフを常設展示をしたいからと研ぎ直しに戻ってきたのだ。 考えてみれば不思議な話であるだろう。 自在バイスの中のナイフは、十五年前のおいらのモチベーションのままなのだ。これが、持ち主の社会的な状況が変化して、作り手のおいらの意志とは無関係に一人歩きを始める奇妙。おいらの銘を刻んだままに… これは、喜ぶべきことなのか!。
by nature21-plus
| 2010-05-08 21:32
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