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「父」は、ながく公共教育機関の職員。だけに、わたしなどと違って、普段からきちんとしたものを身につけることに慣れている。そんな「父」が、今日は、いつもに増してビシッと決めて一部の隙もない。
「おおっ! 恭さん。 かっこう良いじゃん! どうしたん…」 「ああ!… うん、渉吾の卒業式」 「えっ! ああ、そうか。そう言えば、このあいだ高三だって、言ってたね。あいつ…」 「ああ…」 「で、進学は…」 「うん! 専門学校。大阪で声優の勉強をしたいんだって…」 「はあぁ~! 声優…」 「ああ! 中学ぐらいから言っててね。ずっと、ボイストレーニングなんかにも通ってた」 「へえ~! それでか。なるほど、納得… 」 「なにが!」 「まあ、あいつの性格的な明るさ。当然あるんだろうけど、それにして元気にハキハキとしてて…。渉吾と話をしているとなんて気持ち良いんだろうとずっと感じてた。なるほど、表現することのトレーニングをしてたってこと…」 「ああ! しかしね。あいつにしてみたら、この数年、しまね自然の学校にピアリーダーに来てて、あいつなりに学んだことがずいぶんあったらしい…」 「へえ~! しかし…。渉吾もすごいけど、恭さん、「父」もすごいね~!…」 「ええっ! なんで…」 わたしが代表であるなら、「福田恭司」とは、言うなれば「しまね自然の学校の父」である。この「父」の島根の子どもたちの未来を思う言葉にこの団体は始まり、その真摯な人柄と歪まない意志に支えられたからこそ、15年という年月を続けてくることが出来た。そして、その15年は、この「父」が、二人の我が子を美しい細君とともに育み育てた時期にそのまま重なるのだ。 「今日は、お前のとうちゃんじゃないの! 自然の学校の「くまさん」なの。なんで解らん!…」 「やだ! とうちゃんは、ぼくのとうちゃんだ!やだーーー」 奇妙な親子ゲンカを何度も目撃した。トレードマークの髭面を真っ赤にして怒るのか、半べそをかくのか…。その「父」に泣きながらしがみついていく、小さな渉吾。じつを言えば、この上もなくこころ痛むシーンであった。 しまね自然の学校は、すべてのキャンププログラムに保護者の同伴が禁止。これは「原則的に」などというレベルではなく「断じて…」である。理由は、しまね自然の学校が「子どもたちの主体的な育ちの支援」を主題とする「体験教育事業体」であるからだ。 ある意味「冒険」とも言うべき状況に「依存にもちかいレベルに頼れる保護者」。もしくは「過干渉な保護者」の存在は、子どもたちの主体性を阻害する。また、「してやる」ことの暴力を理解しない大人の存在は、ときにボランティアなスタッフの理性をも歪ませる。 つまり、こうした認識の理解のさきに「断じて…」スタッフ以外の大人は、しまね自然の学校のフィールドに居てはならないとしてきたのだ。だから、プログラムの日。「父」は、「 自然の学校のくまさん」なのだ!。 だが、小さな渉吾にしてみれば、当然、「 とうちゃんは、ぼくのとうちゃん!」であるだろう。にもかかわらず、一緒に家を出て、駅の集合場所に着くまでは「優しく頼れるとうちゃん」だったのに、他のともだちが集まってきたら、突然に「とうちゃん」が「くまさん」の変わってしまうのだ。彼のこころにはお構いなしに、そして何とも理不尽に…。 小さな渉吾の絶叫は断じて正しかったにちがいない!。 しまね自然の学校を立ち上げた当初にこころしたことがことがある。いわゆる「いつ止めるか!」だ。まずは、事故だ。出来うる限りにウィルダネスな環境に「冒険」というレベルのプログラムを展開する。この状況に緊張を欠けば、それが子どもたちでも、スタッフでも…。ときに「死に至ること」も意識するべきトラブルの可能性が無いわけではない。当然、断じて「子どもたちを殺さない!」と言う自覚を、徹底的に肝に命じて意識していても…。 だけに、殺さないまでも、「子どもたちの人格を壊す」ような状況も含めてトラブルことがあったら、その時点でこの団体を解散しようと考えてきた。(いや、厳密に言えば今でも…) そして、もう一つ…。それが、渉吾の「やだ! とうちゃんは、ぼくのちょうちゃんだ!やだーーー」の絶叫に理解したことだ。 渉吾の「父」。「しまね自然の学校の父」が、その美しい家族の関係を壊しかねない状況にギブアップを口にしたら、他にいかなる理由があろうと、しまね自然の学校の活動を止めようとこころしてきた。 この15年のあいだ。いや、厳密に言えば17年ほどあいだ。彼は、毎月の日曜日を、「渉吾の父」から「しまね自然の学校の父」に変わってきた。そのライフワークの意義を解する、美しく優しい細君の懸命な努力に支えられたことではある。そして、結果、彼は、これまで参加してきた三千人を越える子どもたちの「しまね自然の学校の父」であるはずだ。 「くまさん」。「きょうさん」。呼び名は、さまざま…。そして、子どもたちはもちろん、これまでに彼にかかわったすべての人々が彼の善良と真摯こそを言葉にする。 だが、渉吾はどうなのか!?… 彼や、しまね自然の学校がどれほどの評価を受けようと、渉吾のこころを傷つけることがあったらな…。われわれの15年は間違っていたのだと考えるべきなのだ。 高校を卒業して長く「夢」見ていた声優の世界への第一歩を踏み出した渉吾…。 進学。勤める。働く。金を稼ぐ。どれを選ぶ自由もあったはず…。だが渉吾は、スケールの大きな「夢」に向かって…。 その名の通りに歩みはじめたようだ。 渉吾。父を越えろよ! 追記:この記事を書いている最中に、じつは今日が、おいらのオヤジの誕生日だということを思い出した。20年も前に亡くなったけど…。強突くばり。傲慢。生きてるときは思い出しても気が滅入るほどに嫌いだったのだが…。亡くなってから、いろいろ調べたら、じつになかなかのオヤジだったらしい…。くそ!… 「亡くなった!」という連絡を受けロードスターを駆って、親父が入院していたサナトリュームについたら…。なんと満開の桜の花吹雪。くそ、くそ!… どなたか、桜の花の写真ください!。m(_ _)m
by nature21-plus
| 2010-03-03 20:44
| しまね自然の学校
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