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雨が降る。些細な用事に街に出た。だが、春の雨にすこし疲れて、コンビニの駐車場に…。ふと見れば、隣のコインランドリーに見慣れた女性。ドライヤーから取り出した洗濯物を丁寧にていねいに…。しかし、いつものように美しい横顔を見せながら、テキパキと…。
フロントガラスを流れる雨のしずくが、その美しさを隠すのか。それとも、雨のしずくを通して見るから、その彼女の美しい所作が際立つのか…。 夫や子どもたちや愛する家族を想い、当たり前にするべきことに丁寧な女性の美しさ…。 ともすれば、現代という時代が見失った美しいものの究極は、ここにこそ有るのではないだろうかと想えてくる。 この15年の間に、しまね自然の学校に参加してきた子どもたちは、三千人をかるく越える。そして、考えるまでもなく、その子どもたち一人ひとりに、必ず、美しい母がいる。つまり、驚いたことにわたしは、数千人というレベルのこの美しい女性たちに出会ってきたことになる。 そして、じつに、その優しさ、善良、真摯、強さなどなど、この美しい女性たちを賞賛するに、わたしのボキャブラリーはまだまだ、まだまだ足りないようだ。 しまね自然の学校は、言うなれば「体験教育事業体」。島根の野山のできる限りウィルダネスな環境に、その自然の中ならではの体験こそをテーマに、子どもたちの「育ち」の支援を意識したプログラムを展開する。そして、これは、いわゆる環境学習や野外体験キャンプなどでは無くて、ある意味明確な「冒険」なのだ。 しかし、ここにこの言葉を使えば、たぶん大半の人々は、たかが子どもの野遊びに「冒険」などと大げさな、などと誤解するにちがいない。つまり、現代のあふれすぎる情報ゆえの歪みなのだろう。人々は、エベレストなどでのビックウォールクライミングや極点を訪ねる旅などだけが「冒険」だと信じ込んでしまっているからだ。じつに「冒険」など、日常茶飯事。身の回りに無尽蔵に転がっていることなのに…。 はじめて出会った子に… 「ねえ! 名前、教えてよ」 大人たちは、この大冒険に連鎖するわくわくとドキドキを名刺というくだらないもの一枚で見失ってしまうのだ。あげくが、言葉がしゃべれ、それぞれにちゃんとした名前を持つ子どもたちに「名札」という荷札をつけることのおろかに気づかない。また、ときに「自己紹介」などという暴力的なことを強いる危険を理解しないのだ。 嘘だと思うなら、表に出て…。道行く人に声を掛け、握手を求める程度のことをしてみるがよい。たぶん、結果は、言葉にするまでもないのだろう。 見知らぬ街の狭い路地に見知らぬ者とすれ違う不気味を考えてみるが良い。もしくは、名刺交換のあとの握手に感じた不快を思い、考えてみるべきだ。そこには、ときに恐怖するものや、耐えがたい我慢までもが転がっているはずだ。 そして、詰まらないテンプレートを手に入れてしまえば、それらを意識させる大冒険を見失うのだ。 しかし、純真な子どもたちは、いわゆる「名刺」など持たないし、ルールなどという概念も理解しない。だけに、子どもたちの育ちの支援に関わる者が、もっとも大切なものと意識すべきは、「われわれは、こうしたの大冒険の中にその日々を生きている」という事実を、まずは正しく理解することに他なら無い。 愛する幼い子を、ある種の「冒険」に送り出す母の凄さが解るだろうか!。 感動的なシーンを幾度も体験した。ときに、その涙は涸れることなど無いのかと思えるほどの号泣に出会ったこともある。また、ときにその背に天使の翼があるかと思えるほどの優しさや穏やかさにふるえたこともだ。そしてそこには、必ず、感動と感謝の言葉とこころからの笑顔が、ともにあった…。 どうにも、この美しい女性たちは、その幼児とともに過ごすとき、自らの腕の中の幼児のこころをそのままに併せ持つようだ。我が子が十代の少年であれば、しなやかに傷つきやすいその若い感性を、自らのこころに重ね合わせて持つかのようなのだ。 ともすればそれは、育み育てる我が子とともに複数の人生を過ごすのかも知れないと思えてくる。繰り返し、くりかえし、その美しいこころをリフレインさせながら…。 雨が降る。 フロントガラスを流れる雨のしずくが、美しい女性の天使のような微笑みを際立たせる。
by nature21-plus
| 2010-03-01 22:57
| 伝える
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