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珍しく早起きして、屋根裏部屋から這い出てみれば…。昨夜の焚き火小屋のイベントの名残りの薪が、さながらロケットストーブに寄り添うように朝の光に美しい。
これに、子どもの頃の記憶の中の様々なシーンがよみがえる。 戸障子の隙間から部屋の中にまで雪が吹き込み積もる寒い朝。台所のかまどの前の母の白い割烹着の肩越しに焚口の焔が赤々と燃える。母の白い手をも赤々と染めながら…。 幼い仲間たちとの野遊びの風景にもそれはあった。冬の野の草焼きの煙の向うの田畑の中の道を粗朶を山積みにした荷車が行く。見れば、その山積みの粗朶の上に仲間が一人。これに「あそぼう!」と声をかければ、遥かに、微かな声が「風呂焚きする」と…。 また、夕刻。父や母が仕事から戻るまでに、しなければならなかった風呂焚きに乾いていない焚き付けが思うように燃えてくれなくて、悲しくて、けむたくて…。 冬の朝の優しい光の中の薪とロケストのある風景にささやかな幸いが連鎖する。 国連食糧農業機関の調査した統計では開発途上国の木材生産の8割が薪炭生産で占められているそうだ。そこで、世界的な規模での森林減少の大きな要因は材木会社などが行う用材生産ではなくて、どうやら薪の採取であるとする見解も生まれているそうだ。 しかし、樹木を伐採するのではなく小枝を刈る程度の利用であれば、森林は再生可能な範囲で利用できるのだろうし、薪は、煮炊きや暖房に、われわれの暮らしに有効な再生可能エネルギーであるはずだ。 また、かつて薪を採取した里山や柴山などの入会地は、言うなれば「ローカル・コモンズ」だった。つまり、地域の人々の共同管理の下に持続可能な利用が図られていたのだろう。 これらをイヴァン・イリイチのいう「コンヴィヴィアリティのための道具」的に捉えてみれば…。薪や、その採取のための環境や状況は、われわれが地域に「生き生きと共に暮らす」ための小さなツールとしての意義や意味までを持つようだ。 捉え直すべきことであるようだ。木を、薪を焚く暮らしを…。 冬の朝の優しい光の中の薪とロケストのある風景にささやかな幸いが連鎖する。 ※2015/01/15 島根日日新聞コラム原稿
by nature21-plus
| 2016-03-03 15:12
| 島根日日新聞
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