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風も無く、昨夜から降り続いていた雪も止んで、とても穏やかな今日の「風の谷」。
だが、冬の最中の焚き火小屋に誰か訪ねる者があるわけも無く。友人から送られた一振りのナイフを前に、この静かな一日を過ごした。 いわゆる、スカンジナビア半島にサーミ人と言われる森の国の人々の野外での作業用ナイフだ。 ちなみに、この一族。十八世紀に一人の男が持ち込んだナイフ作りの技術を一族の中に絶やすこと無くいまに伝え、サーミ人のためのナイフを作りつづけているのだとか。 つまり、友人が送ってくれたナイフは、レウク(leuku)と呼ばれるそのサーメナイフ。しかし、これが、じつに良くできたナイフだ。 構造やデザインも、じつに機能的で優れている。ブレードの大きな反りは、専用のスキナーのようにトナカイなど大型動物の解体を可能にする。それに続く長い刃は、日本の菜切り包丁のように使うことが可能だ。当然、厚く重いそれは小型の鉈ぐらいにも機能するだろう。だが、手にしてみれば、このナイフの本当の凄さ。つまり、このナイフに宿る「思想」とでも言うべきものの素晴らしさが、更に際立つ。 二枚目の写真は、このナイフのブレードがグリップに連なる部分。つまり、カスタムナイフなどで言えば「ヒルト」に該当する。また、日本の包丁などなら「口金」のまわりだ。 つまり、このナイフには、その用途に戦うことが意識された刃物であるなら必ず付けられるブレードに手が滑りこむことを止めるための突起や鍔のようなものが、まったく無いのだ。だけに、誰かを傷つけるために「突き刺す」ようなことをすれば自らこそが大怪我をすることを覚悟しなければならない。 確かに、刺そうとすれば刺せないことはない。だが、それは同時に、自分の指を落とすレベルの大怪我をすることになる。 なぜ、それが断言できるか。 じつは、おいらは、かつてこのナイフとまったく同じコンセプトのナイフを作ったのだ。つまり、三枚目の写真のナイフがそれだ。 つまり、「しまね自然の学校」のキャンプなどで子どもたちに使わせることを考え、意図して、戦闘用ナイフのような持ち方や使い方が出来にくいように考えたのだ。 だが、この複雑なデザインや構造は、たぶん、現代的なナイフ・メーキングの技術や知識があって、はじめて可能なことだ。しかし、このサーミ人のためのナイフは、十八世紀にはすでにそのデザインが完成しているのだ。つまり、この素晴らしいとしか言いようのない「思想」が意識されてだ。 サーミ人のナイフには不思議な癒しのパワーがあると言われ、古くから痛みや血を止めたりする民間療法に使用されたそうだ。これが、何を意味するのかなど解らない。しかし、この高い倫理観に基づく「思想」の存在は、その古いデザインが雄弁にもの語る。
by nature21-plus
| 2011-01-29 06:32
| design
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