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ともあれ、とりあえずガスコンロ用の陶器の釜を使って炊いてみた。まあ、ここで「火の鳥」でも炊けたのだから、失敗することは考えられない。ただ、ベンチュリー効果を意識したバーナーチップをヒートライザーに組み込んで火力を抑えてはいるが、それでも「火の鳥」に比べ、火加減一つで圧倒的に強くなる。これが、どういう結果に繋がるか。 しかし、かまどに比べれば圧倒的に小さい火のコントロールは、思いのほかに楽だった。途中、知人から電話が入って、これに答えながら適当に弱火を続けていたら、いつの間にか炊き上がっていた。 炊いたのはほぼ一合の米。かまどを使えば至難の少なさなのだが、厚みが二センチ強ある陶器製の釜であることと、熱量の無駄を抑えるために使った釜のまわりのカバーが効を奏したようだ。じつは、水加減がすこし多かったようなのだが、飯粒が艶やかにきれいに立って美味そうだ。 しかし、この釜をプロパンなどのガスコンロで使うと、必ず、途中で吹きこぼれた。だが「火の鳥」にしても、このガスボトル・ストーブにしても、それが起きない。だけに、炊き上がりの目安となるのは「匂い」だけしかない。 つまり、あの羽釜を開けたときの炊き上がりの飯の甘くて、すこし焦げた美味そうな匂いである。ちなみにカバーの効果は釜の中にもちゃんと出ていた。つまり、「焦げ加減」に…。 このカバーを使っても、プロパンなどのガスコンロで炊くと焦げは底の部分だけに集中して、ひどいときには黒焦げになって、当然、飯も全体が黄ばんでしまう。これがなかった。焦げは、釜の下半分ぐらいにきれいに黄色に広がってくれた。もしかすると、これは炎がヒートライザーに入れたバーナーチップにコントロールされ、きれいにリング状の広がるからかもしれない。 ともあれ、「ガスボトル・ストーブ」でも、この釜を使えば問題なく美味い飯が炊ける。しかし、これで終わってしまうなど面白くないし、考えてもいない。出来れば、かまどの羽釜のように本体とスムーズに合体するシンプルな鉄の釜を作りたいのだ。そして、出来れば、これに湯を沸かして、その上に蒸し器などが乗せられるようにしたいのだ。 この「ガスボトル・ストーブ」。おいらは、ロケットストーブの原理を組み込んで粗朶木が焚けるぐらいで面白がっていない。イメージするのは、いわゆる中山間地域に暮らす老夫婦が、これ一台で冬の暖をとり、最低限の調理が出来る状況を作りたいのだ。 聞けば、そうした家庭の冬の間の燃料費は、一ヶ月におよそ三万円ぐらいだそうだ。そのうち電力に依存する割合がどの程度か解らないが、現状では、慎ましい年金暮らしに灯油代も節約してやりくりする家庭もあると聞く。 ちなみに三万円は、そうした家庭の女性達が一日六千円ぐらいのパートに出て一週間の収入に該当する。つまり、この大半をガスボトル・ストーブが賄えるのだとしたら、女性達は、少なくとも一週間はパートに出ないで済むことになる。ガソリン代も要らない。余計な出費も必要としない上に、家にいる間に自宅の山に粗朶木を集めるぐらいは可能になるだろう。 つまり、本来的に家計を管理し、地域経営を実質的に支えてきた女性達が、かつてのように里山をこの上もない有益な燃料資源として捉え直すことが可能になるかもしれないのだ。そして、そのためには、「暖がとれて、パンが焼けます」ぐらいではダメなのだ。 現在の山間部の人々の暮らしのすべてが当たり前に出来て当然なのだろう。。 しかし、さて、どうするか。。 ちなみに、飯の後に、明日の朝食用に「ノブヒェン」も焼いた。 そして、今夜の「ノブヒェン」は、そのバーナーチップがもっとも長く、出来るかぎり小さな炎が使えるように調整したものを使って焼いた。だけに、焼きあがりに時間がすこし長くなったが、結果は写真のようにきれいに上がってくれた。スケールを当ててみれば高さが八センチ、最大幅も十四センチと、これまでの最大レベル。百五十グラムの小麦粉を使ってこれぐらい膨らんでくれれば、申し分ない。 当然、美味かろうことは言うまでもない。
by nature21-plus
| 2011-01-05 21:42
| 田舎に暮らす
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