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おまっとさん!。
などと、チャラける相手がいるわけでもないし…。一人暮らしのジジイの夕食なんぞ、基本的に味気ない。 朝食やランチは、作ったり食べたりしながらも、あたまに仕事の段取りなどがあったりして、ときに「あれ!飯、食ったっけ…」などと考えることがあるぐらいに頓着もない。 しかし、夕食はすこし違う。その日の作業や気分に左右されることも当然だけど…。「さて、なにを食べるか!」などと考えながら冷蔵庫を開けるときなど、思いのほかに憂鬱なものだ。 今日も、終日、なにをしていても気分が乗らなかった。そんな夕刻、さて、なにを食べるか!。 キッチンになぜか昨日から大量の長ネギがグラスに差して置いてある。食べて良いものなのか、それとも、誰かがなにかの調理につかうために用意したものなのか解らないままに…。 見ていたら、なんだかだんだん腹が立ってきて、「くそ!全部食っちまえ…」と思えてきた。 水洗いをして、言うなれば麺類の薬味レベルに細かくカットして…。冷蔵庫の中には北海道産の秋刀魚と、豚肉の切り落としと長芋が少しと…。しばらく前に使った胡瓜が半分、なかば黄色くなって残っている。 胡瓜は、皮を剥いて薄くうすく小口に切って、これに干しエビを適当に入れて塩をする。 つぎは、秋刀魚。これは三枚に下ろして毛抜きを使って小骨をとって皮を剥ぐ。で、塩を一振りして包丁で粘り気が出るまでひたすら叩く。つまり摺りおろした長芋と小口に切った長ネギとを合わせてツミレをつくり、これを先日、知人にいただいた能登の烏賊の「いしる」でゆっくり炊いた。 まあ、こんなもんでジジイの夕食は良いのかもしれないが、食後に石積みの壁でボルダリングをして遊ぼうなどと企てている。つまり、そのためには、もう一品、タンパク質が欲しいところ。 豚肉の切り落としに薄力粉をまぶして、これをフライパンに大さじ二杯程度の油を落として、揚げるように焼いて…。 皿に、小口に切った長ネギをたっぷり盛り付け、その上に熱いうちに置いて、これに「いしる」を振りかける。 まあ、一人暮らしのジジイの夕食、こんなもん。ちなみに、秋刀魚のツクネを炊いた煮汁を少し伸ばして、ここに長芋をそっと摺りおろして、干しエビと長ネギを入れ、季節外れの金柑の皮を千に切って落とせば、それなりのすまし汁になる。 「おまっとさん!」などと、言ってみたけど…。まあ、誰もいない。
by nature21-plus
| 2010-09-14 21:15
| 焚き火小屋に火を熾して
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