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昨年の秋ぐらいから、おばあさんの休憩室を焚き火小屋に軒を連ねて造っている。この作業を、理由あって中断していたのだが、そろそろ再開しようとのぞいて、古い建築廃材の裏側に写真の「泥蜂」の巣らしきものを見つけた。
この時期だから、当然、蜂はいないし、とりたててこうしたものに詳しいわけでもないから、厳密に、どういう種類の蜂なのかは解らない。しかし、ネットに調べてみれば、どうやら「泥蜂」の中でも「スズバチ」か、「キゴシジガバチ」の類であるらしい。 巣は案外に硬く、張り付いていた古い板から外すに相当に力任せに剥いだのだが、壊れもせずにきれいにとれた。これを明るいところに持ち出して、よく見れば、じつになんとも凄いとしか言いようがない。 直径が12mm程度、そして長さが40mmぐらいのたこつぼ状のそれが、4個から7個ほど連なって、三層構造になっている。しかも、よくよく見れば、その泥の張り具合が、互い違いにうろこ状をなして、じつに丁寧に美しいのだ。 小さな昆虫が、泥を素材にこれを作ったなどと、じつに信じられない思いがする。この「泥蜂」の巣と、人間の暮らす環境とを同じレベルで考えるのことは馬鹿げたことであるのかも知れない。だが、あまりの凄さに嫌も応もなく、それを考えさせられてしまった。 その「質的なレベルの解析」とでも言うべきか。つまり、現代という時代の「子どもたちの育つ環境」の貧しさについてである。 知恵を持ち、火を使い、道具を使う人間に比べて、いわゆる「泥蜂」に、どれほどに凄い能力が備わるわるのだろうか。 当然、その論拠など見出せない。だが、こうしたものを目の前にすれば「人間が、その知恵と引き換えに失ったもの」とは、一体、なんだったのだろうと考えてしまう。また、その「知恵」そのものについてもである。 古い知人に絵描きがいる。もう二十数年も前のことだが、この知人が一時期の秋に北海道に通いつめていた。 焼畑農業の研究者として、その世界に知られた父を持ち…。これに反発して「絵の世界」に入って、東京芸大の大学院に進んだころに、北海道で「鮭の産卵」に出会ったのだという。 生まれ故郷の河川を登る「鮭」の懸命と、その産卵のあとのボロボロの死に様を何十枚もスケッチしたという。そして、否応もなく、自らの「生きる」を考えさせられたしまったそうだ。 もろもろの生きとし生けるものが、生み育て…!。その「命」を次世代に伝えることの凄さに感動したのだという。 「…尊いお物語をありがとうございました。まことにお互い、ちょっと沙漠のへりの泉で、お眼にかかって、ただ一時を、一緒に過ごしただけではございますが、これもかりそめのことではないと存じます。ほんの通りがかりの二人の旅人とは見えますが、実はお互がどんなものかもよくわからないのでございます。いずれはもろともに、善逝の示された光の道を進み、かの無上菩提に至ることでございます。それではお別れいたします。さようなら。…」 宮澤賢治の「雁の童子」の一節だ。ちなみに「善逝」とは、梵語で「悟り」に到達した者を意味すると聞く。また、「 無上菩提」とは、この上ない悟りのことだと…。 賢治は、命の尊さを語る物語りの最後に、なぜゆえにこの一節を入れたのか…!?。 しかし、一匹の「泥蜂」に、その次世代の育ちのためにこれほどのことが出きるのだとしたら、知恵あるはずの人間には一体どれほどのことが可能なのだろう。 いや、どれほどのことをなさねばならないのだろうか!。
by nature21-plus
| 2009-11-19 00:00
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