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いわゆる「鉄」をいじるようになってずいぶんになる。小さなものなら「ナイフ」や花入れや、ちょっとした小物入れなど…。大きなものなら車の改造から建築に関わるものまで、結構、楽しみながらおもちゃにする。
だが、「光と影の妙なる世界」に魅せられて、いわゆる「照明」に関わって来たのはさらに永い。結局、それはバイトレベルに終わってしまったが、ショービジネスの舞台の照明にも関わった。そして、その思いのさきに行き着いたのは「照明器具を作ること」だった。 しかし、厳密に言えば、「照明器具を作る」のではなくて、「暮らしの中に照明をデザインする」ことであるのかもしれない。つまり、いたずらに、その存在を主張する照明器具を作ることが「照明を考える」ことではないと思えるのだ。 レンブラントやフェルメールの光…。森の中の木漏れ日や、ときにデンマークの「ヒュゲ」な時間の中のキャンドルの灯りなど…。その使われる場所やシーンを考えて、そこにベストな光を用意することが「照明を考える」ことであるようだ。 つまり、出来れば、その光源や灯体なども無いほうが良いのかも知れない。 ある店舗デザイン系の照明器具のラボに関わったころ、「移動できる間接照明」などというコンセプトをもって、シンプルなアッパーライトやフロアースタンドなどをデザインした。しかし、それらは、店舗やショールームのような環境にきらびやかに美しくても、大半の人々の暮らす都市の住宅環境にもベストであるとは言えなかった。 いわゆる「行灯」や「ぼんぼり」といった照明器具を、すでに室町や平安などに見出した文化をベースとする日本人の住宅建築には、ここに言う「照明を考える」ことが成り立ちにくいと考えるようになったのだ。 つまり、そんなことを理由に、その「照明を考える」ことから久しく遠ざかっていた。だが、田舎に暮らしはじめて、その認識のあやまりであることに気付かされた。 焚き火小屋の土壁に秋の午後の陽光が美しく柔らかい情景や、すべてのものを金色に染め上げる光が、まるで横殴りに投げ込まれるかのように差し込む夕刻の気配に…。自らが暮らした都市の住宅環境には知る由もない「光」があふれていた。そして、それらに「暮らしの中に照明をデザインする」ことが、田舎に暮らすなら野外にまでも可能なのだと思えるようになったのだ。 写真は、ある地域振興系の団体が行なった全国レベルのシンポジウムのレセプションに、「旬菜亭」と題した野外サロンをデザインしたときの「照明」である。芝の地面に挿して使うフロアースタンドなのだが、くず鉄と廃材を利用して、これを作った。 晩秋の美しい暮れなずむ風景に、徐々に際立つそれは思いのほかに美しく、「田舎に暮らさなければ見えないデザインがあるのだと理解しました!。」などと、参加者にもずいぶん好評だったようである。 日本人は、モノを見るときに「真、行、草」という三つの認識を使い分ける。言うなれば「究極の様式」としての「真」であり、「上質なスタンダード」と言うべき「行」であるだろう。そして、「草」とは、その「様式やスタンダードを完全否定」したさきに、本質にそったオリジナルなものを見出し、これを認める「哲学」であるのかも知れない。 茶の湯の「侘び」とは、つまりその真髄であるのだろう。 そして、その「草」とは、自然の豊かな環境に暮らし、その風景や風土との関係にこそ学ぶべきものであるようだ。 ことさらに「持続可能な社会を考える」などと言うまでもなく、時代は、否応なく自然や風景や風土、そして、大地に根ざした暮らしの有り様に真摯であることを意識させる。そして、その豊かな暮らしについて考えれば、そこに、いたずらに都市を持ち込むことは理不尽である。 田舎ならではの光と影の中にこそ、オリジナルなものを見出す「哲学」を感じたいものだ!。
by nature21-plus
| 2009-10-20 00:01
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