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ヒデは四年生の終わりぐらいまで、三歳年上の直樹を「お兄ちゃん」と呼んでいた。これが、五年生になったころから、なぜか「ナオキ」と呼び捨てにするようになった。
「まあ、ヒデも育ったということなのだろうけど…。良くないね!」と気にしていたスタッフが、そのヒデを、夕食後の焚き火のそばに捕まえている。 「家でもナオキか…!?」 「違うよ!「兄ちゃん」って呼んでる。」 「じゃあ、なんで自然の学校でだけ呼び捨てなんだ…!?」 二人のそんなやりとりを聞くとは無しに聞いていたのだが、ヒデの理由に驚かされた。いや、正確に言えば、ヒデの言葉に、この年代の子供たちがどれほどに「純粋」であるかを理解し、そして、その彼らに「指導的」に向き合うことがどれほど難しいことかを教えられた気がしたのだ。 彼は、「自然の学校では皆が平等なの!自分のことは自分でするの。ヒデも、お兄ちゃんに甘えないで、自分のことは自分でしなさい。」と、何度も「かあさんに言われた…!」のだそうだ。 参加費が少し高いこともあって自然の学校に兄弟そろった参加はあまり多くない。だけに、最年少のヒデの「兄への甘え」とも見える状況は、一時期、確かに目立っていた。お母さんの言葉は、そうした状況を踏まえたことであるのだろう。しかし、そのことと「兄を呼び捨てする」ことがなぜ繋がるのだろうか。 ヒデは「兄ちゃん!」が大好きなのだ。そして、家族の誰もが、この兄弟に「仲良くあれ!」と願っている。だけにヒデは、ことある度に「兄ちゃん!」なのだ。しかし彼らの、三歳の年齢差は圧倒的なのだろう。 こまったことに出会うとき…。また、おもしろいものを見つけたときなど、ヒデが直樹に「兄ちゃん!兄ちゃん…!!」と寄っていくシーンは、確かに「兄に甘えている!」ように見えなくもない。 しかし事実は、直樹のその対応がすべてをものがたる。直樹は、どんなときでもヒデの「兄ちゃん!」に、「ああ…!」「うん!」という言葉とともに、ちゃんと向き合うのだ。けむたがるとか、うるさがることなどまったくない。 この兄弟が、家族とのどういう関係に育つのかが、ここにこそ見てとれる。当然、とても心地良いものを伴ってだ。 ヒデは、お母さんの言葉に、自然の学校に参加しているときは「兄」を「兄と考えてはいけないのだ!」と理解したのだそうだ。だから、ほかの友達を呼び捨てにするように「ナオキ」なのだという。実際、ヒデは、スタッフやピア・サポーターなど年長者以外をすべて呼び捨てにする。そして、この辺の理解は「友達なのに呼び捨てに出来ないなんて、その方が変だ!」という。 最近、子供たちの育ちの環境に「人権」や「平等」という言葉の理解が歪んでいると感じている。「主人公の不在」は、なぜに起こるのか…。 愛すべき「ヒデの純粋」こそが、そのすべてを教えてくれている気がするのだが…。
by nature21-plus
| 2009-08-20 00:00
| しまね自然の学校
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