最新の記事
カテゴリ
全体 焚き火小屋のこと しまね自然の学校 瀟洒なる森の中で Linux design 島根日日新聞 田舎に暮らす 百姓をする女たち 日々雑感&たわごと 野外体験産業研究会 心象をスケッチする 伝える 焚き火小屋に火を熾して nob-san Brötchen ロケットストーブ ノブヒェン窯 ノブフェン募金プロジェクト OLD LENS フォロー中のブログ
登攀工作員日記 フランス存在日記 山瀬山小屋2号奮闘記!と... 楽・遊・学・ビバ人生!! おとうさん! ごはんなに? 染めと織りのある生活を楽... 山の子 田園に豊かに暮らす わざわざのパン+ かるぺ・でぃえむ 向こうの谷に暮らしながら 光と影をおいかけて TSUNAMI募金2 赤... すなおに生きる 木陰のアムゼル2号庵 フランス Bons vi... FC2ブログなど
以前の記事
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
あるブログにジョン・バーカーの訃報を知った。
山と渓谷社の「岩と雪」(1980年72号)の表紙を飾り、グラビア・ページに掲載された「ミッドナイト・ライトニング」を攀じる彼の衝撃的な連続ショットに、当時、「ハード・フリー」と呼ばれていたフリークライミングの本質と、その「極限の世界」の凄さを見せられた気がした。 「春の息吹ルート(明星山P2西稜末端壁)」を攀じり、第二次RCC同人の前穂高岳4峰正面 北条・新村ルートのフリー化に参加するなどして「岩と雪」のクロニクルをほんの少し汚して、半ば有頂天になっていた自身との決別を意識した。所属していた山岳会を退め、リザルトにこだわることも止めて、数人の親しい仲間と海外の岩場に、自身のクライミングスキルのアップに遊ぶだけの日々を過ごした。 この全ての「バックボーンを捨てた」漂泊にもちかい日々に、自分は「自身を生きる」ことを知り「隣人との関係」の意味するところを感じ、また「研ぐ」ということを、ほんの少し理解できたのかも知れない。 3年ほどしたある日。やっと、数年前に北穂高岳滝谷に逝ったある後輩の墓参に、島根を訪ねる気になれた。 ある年の11月20日の夕刻、新宿の地下街の雑踏の中で、あいつのいつもの照れたような笑顔を見つけた。「おうっ!」と声をかけたのだが、あいつは人混みの中にまぎれて消えた。翌、早朝、けたたましく鳴り続ける仲間からの電話に、あいつの最後を知った。第四尾根の頭付近で、新雪にのった薄氷とともに滝谷に落ちたと…。 幾つかのダミーの投下を繰り替えして、激しいブリザードに翻弄されながら、仲間たちとともに滝谷C沢右又奥壁周辺を徹底的に探した。しかし、あいつを見つけることはできなかった。その痕跡も何一つ…。 今年も、8月5日がやって来る。D沢のシュルンドの中に、あいつのいつもの照れたような笑顔を見つけた悲しい日だ。 遭難。 確かに、それがどんなに高邁な理念に基づく結果であったとしても、関わる全ての人々に悲しみ以外の何ものももたらさない。しかし、だとしたら我々は、ただただ悲しみの記憶に苦しみ続けることしかできないのだろうか。 あいつの「こころ」を想った。ご両親への言葉になどならないだろう思いと…。仲間たちへの「済まない!」と、希求するものと…。そして、集会の度ごとに飲んだくれ、終電に乗り遅れた仲間たちの溜まり場になっていたあいつの高田馬場の下宿でさんざん聞かされた、故郷、島根の笹子の「玉結」の美しい海へのあいつの深い想いを…。 いつかある日、島根の美しい風景の中に、あいつの照れたような笑顔に出会いたいものだ…。
by nature21-plus
| 2009-08-02 11:55
| 日々雑感&たわごと
|
ファン申請 |
||