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正直を言えば、本当は考えたくなかった。先日、出雲の中学生が起きたあの痛ましい事件についてである。しかし、事件の次の日に、ある全国紙の記者を名乗る人物から電話がかかった。
「しまね自然の学校」という体験教育事業体を主宰して、事件をおこした少年と同年代の子どもたちに普段からかかわっているお前は、今回の事件についてどういう認識を持つか、ということだった。さらに次の日から、自然の学校に参加する子どもたちの保護者から「不安と混乱を整理するため…」と思える電話が続いた。 調べてみたら、あの少年の通う校区から「しまね自然の学校」に参加する子どもたちは思いのほかに多かった。驚いたことに出雲から参加する子どもの四人にひとりが、同じ校区の子どもたちなのだ。そんなことから、記者を名乗る人物の不躾はともかく、保護者の皆さんの支援は意識すべきだと考え、事件の情報の収集と「自分なりの解析」に、この10日あまりを没頭した。 あの少年やその家族の未来を案じる情報がまるでないのはなぜだろう。また、あの少年の隣人たちの不安な思いへの配慮も同じである。まるで、報道とは、報道にかかわる者によって想定されたエンドユーザーのための「商品」でもあるかのようだ。そして、傲慢のそしりを恐れずに更にを言えば、こうした事件が起こるたびに登場する、いわゆる「専門家」とは、どういう存在なのだろうと考える。 育ちのプロセスにいる子どもたちは、当然、不安と希望のはざまに大きく揺らぐ。しかし、如何なる状況にあっても、彼らは、本質的に「健康」であるはずだ。なぜなら、「心の揺らぎ」とは、彼らが、その「幼い心を、自らを育むためのツール」であるからだ。また、「心のケア」と言う言葉は、たしかに耳に心地良い。しかし、それが「あの少年の『こころの闇』を解析しなければ…」という言葉ととも使われるのだとしたら、これは、社会倫理に照らしてどうなのだろう。 「あの子と、あの家族の未来は…!」と「隣人を想う」母親たちの思いに根ざした倫理観を、われわれの社会は、いま一度、強く意識するべきではないだろうか。 ----------------------------------------------------------------------------------------- ※本文章は、島根日々新聞の木曜日のコラムに2009年7月23日に掲載した文章(に、少し加筆したもの)です。新聞社との契約により、他の出版物等への本文の転載や引用など出来ません。ご配慮をいただければ幸です。
by nature21-plus
| 2009-07-28 01:56
| 島根日日新聞
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